解決した医療過誤事例

ここで過去に解決した事例をご紹介致します。
蓄膿症で失明に至った事例
事例の概要
Mさんは平成15年1月9日より、左目の痛みを覚え、近医眼科を受診した結果、I脳神経外科病院を紹介され、同月11日、副鼻腔炎と診断され入院となった(11日は、よくあるように金曜日でした。)。 入院後、Mさんの左目は全体が発赤・腫脹し、開眼ができなくなった。抗生剤(細菌をやっつける薬)の点滴が行われたが、症状は徐々に増悪し、顔の左半分が腫れあがった。 同月14日にようやく地域の基幹病院である耳鼻科に転院となり、直ちに緊急手術が行われ、眼窩内に貯留した膿の排除と副鼻腔炎根治術が行われた。 しかし貯留した膿が、眼球や視神経を圧迫し、炎症を波及させたことにより、視神経が不可逆的な障害を受け左目の失明に至った。

患者側の主張
副鼻腔炎と診断したのであれば、その合併症の一つとして視神経障害があげられているのであるから、同合併症をおこさないよう、手術等をして膿を排出するか、または、仮に相手方病院で対応できないのであれば、適切な病院に転院させる義務がある。しかし相手方病院は顔の左半分が腫れあがってきているにもかかわらず、漫然と4日間、ただ抗生剤の投与を行っただけであった。早期に適切な治療が行われていれば、左目の失明は避けることができた。
病院側の主張
特に反論はなかった。
結論
解決金として、1500万円を支払っていただくことで合意した。
感想
頭頸部は狭いところに重要な臓器が密に存在し、ひとたび感染が生じると、近隣の臓器に炎症が波及し重篤な結果を招くことがある。  本例では副鼻腔炎から眼窩内膿瘍そして眼球や視神経の障害によって失明に至った。他にも、副鼻腔炎から脳内に炎症が波及して膿の塊ができる脳膿瘍の例や上顎の虫歯から副鼻腔炎(上顎洞炎)が生じるという例もある。  また、本例のように診療科が他科にまたがる(耳鼻科から眼科、耳鼻科から脳外科、歯科から耳鼻科など)と診断が遅れて重大な結果を招く可能性も高くなってくるので注意しなければならない。  特に炎症の影響を受けた臓器が目や神経系の場合は不可逆的(治らない)障害となる。